センター長挨拶

 

 

 科学機器リノベーション・工作支援センターは、低温センターや高圧電子顕微鏡センターなどと同様に、大阪大学にある13の学内共同教育研究施設の一つです。センターとして歴史は古く、1966年に「工作センター」が設置されて以来、50年以上にわたって学内・学外の研究・教育を支援してきました。2007年、2014年と改組を重ね、現在の体制である「工作支援室」と「研究設備リノベーション支援室」の2室で構成される組織となりました。

 工作支援室では、工作による教育研究支援を行ってきました。教育関連では、ガラス工作や機械工作など学部生の教育を担っており、研究室配属前に必要な技術の習得に貢献してきました。全学向けの技術講習会も定期的に実施しておりますが、最近では、研究室や学科の要望に応えるべく、小規模での講習も受け付けております。
 研究においても、全学の研究を支えてきました。研究者はフェイスtoフェイスで相談にのってもらえますので、細部まで行き届いた、世界に一つしかないモノづくりが可能です。こういったものづくりの技術は、新しい研究、創造性の高い研究を生み出すためになくてはならないものです。ぜひ皆様に広くご利用していただければと思います。
 また、教育・研究以外では、2020年のコロナ禍において、フェイスシールドやアイガードの内製を迅速に行い、大学病院の運営に貢献しました。最近では、全国70校の盲学校へ配布する歯の模型の試作に協力しており、教育研究以外の社会貢献にも積極的に取り組んでいます。

 一方、研究設備リノベーション支援室の主なミッションは、「リノベーション」の文字通り、「研究設備・機器の有効利用と共同利用のためのリユース」です。大阪大学には、総合大学ならではの強みとして、汎用性の高い装置から世界に1つしかない最先端装置まで非常に多くの科学機器が各部局に点在しています。それらのリソースを有効利用するために、部局を超えて(学外も含めて)広く利用していただけるよう全学規模のネットワークを構築しています。現在では、登録台数が250台まで拡大しており、年間のべ6万件を超える利用が本システムにより行われています。
 2019年には文部科学省「先端研究基盤共用促進事業」の「研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム(SHARE)」に採択され,大阪市立大学および奈良工業高等専門学校と共同で「阪奈機器共用ネットワーク」を構築し、大学の垣根を超えたネットワーク形成の充実化にも取り組んでいます。
 また、「阪大ソリューション方式」による先端研究設備・機器共用システムを2017年に導入しました。このシステムでは、機器の種別や研究分野ごとに部局横断ユニットが形成されていますので、研究者や学生は関連研究分野の技術連携コーディネーターの協力のもと、最適な機器を利用して効率よく研究を進めることができます。さらに、装置を適切に維持し使用するための支援も行っていますので、ぜひ本システムによる全学共同利用にご協力いただきますようお願い申し上げます。

 大阪大学は、2021年に文部科学省先端研究基盤共用促進事業「コアファシリティ構築支援プログラム」に採択されました。全学での研究設備・機器の共用化ならびに研究基盤の強化を目指して、2021年10月に発足しましたコアファシリティ推進室と密に連携をとりながら、大学の研究の活性化、深化につながる支援を続けていきたいと考えていますので何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします。

科学機器リノベーション・工作支援センター センター長 西山 憲和

(沿革)

1966年(昭和41年)
学内共同教育研究施設として「工作センター」発足
2007年(平成19年)
「工作センター」を発展的に改組し「科学教育機器リノベーションセンター」を設立
2011年(平成23年)
平成23年度「設備サポートセンター整備事業」採択
2014年(平成26年)
科学機器リノベーション・工作支援センターへ改組
2017年(平成29年)
平成29年度「先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)」採択
2019年(令和元年)
令和元年度「先端研究基盤共用促進事業(研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム)」採択
2021年(令和3年)
令和3年度「先端研究基盤共用促進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)」採択